『坊っちゃん』で語る学校のいま・むかし

夏目漱石の『坊っちゃん』は、明治時代の学校を正確に描写している。この姿と平成のいまを対比して、学校・教育を見つめ直していこうと思う。

閑話休題  我輩の犬である

犬は幸せか?

 我が家には、13年前から犬がいる。名前はまだある。「ビビ」君だ。だから、オスである。そして、もう13歳。だから、確実に老犬である。

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        ビビ君近景                  お行儀のいいビビ君

 

 ビビ君は、捨て犬である。写真でも分かるように、ビーグルと何かのハーフとして生まれている。スヌーピーには、なれなかったのだ。それで、純血種でなかったがゆえに、悪徳ブリーダーが捨てたのかもしれない。

 このハーフを家に連れてきてから、もう13年。ずいぶんと時間が経った。人間年齢では、いつのまにか、そして確実にご主人の齢を抜き去った。我が家にやって来たころは、若々しいジャニーズ系のイケメンだった。しかし現在の彼は、被毛は白髪だし、目は白内障だし、耳は遠いし、ご飯を食べたことも忘れて、もっと寄越せとばかりに吠えたりもする。昼間から寝てばかりでもある。数年後の我が身を見るようだ。

 それでも、まだまだ足は速いし、ボールを追いかけて全力で走る。しかし先日の散歩中、視野狭窄のせいか、前方への注意を怠って電柱に頭をぶつけていた。我が教訓ともしたい出来事だった。

 こんなビビ君だが、ここまでの犬生は幸せだったのか?

 「拾ってやっただけ有り難いと思え」なんて、とても言えない。きっと、「もっと高級なドッグフードにしろ!」と思っている。「人間の古着なんぞを敷物にするな。ペットショップのピンクのマットを買え!!」と文句を言いたい(いや、吠えたい)はずだ。「メリットシャンプーなんかを使うから、背中がかゆいんだ。人間みたいにフケなんか出やしない!」と、高価な犬用薬用シャンプーをケチる主人を非難しているに決まってる。

 ただ、ご主人様にとって、ビビ君とのお散歩は「哲学の時間」だ。このブログに書くことを考えたり、明日やるべきことのアイディアを構想したり、ときに夕飯のカレーに入れる調味料の混合比を計算する。そんな「小さな哲学の道」を共に歩くのだ。

 そして、もうひとつ。ビビ君とのお散歩は、人との交流の場を与えてくれる。「ママ友」ならず、「犬友」だ。ちょっとだけ挨拶する、それだけの時間だが、ここで出会う人たちの笑顔は、いつもやさしい。

 犬って、本当に幸せかどうかは分からない。でも、ご主人様に与える「時間」や「場」が素敵なものならば、「それでいいんだワン」と思っているかもしれない。

漱石の猫と我が輩の犬

 漱石の家に猫が迷い込んで、それを漱石が飼うことになる。この猫こそが、デビュー作「吾輩は猫である」の猫だ。有名な話であるが、この猫が漱石家の隣の家に迷い込んでいたら、名作も文豪も誕生しなかったかもしれないのだ。

  そう言えば、この猫はしゃべる。人間には聞こえないが、相当な教養の持ち主であることがわかるくらい、見事にしゃべる。それが全く不思議でないと思わせてしまうから、漱石の筆力はスゴイ。いや、実は動物は、本当にしゃべっているんじゃないか?

 実際、「我が輩の犬」も、間違いなくしゃべる。

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      知らんふりするビビ君                飽き飽きするビビ君

 

 ビビ君は、ご飯を「ゴハン」と三語で言う(いや吠える)。水が欲しいときは、「ミズ」と二語で言う(いや吠える)。これは、何度も試したから絶対に間違いない。そして、夜中にお腹が痛くなると、「イターイ、イターイ」と、喉の奥から空気を漏らすような声で訴える。雨の日の散歩は、「イカナーイ」と間延びした音で、複数回鼻の穴を鳴らす。濡れたくない、と言っているのだ。「お前は人間か!」と怒鳴りたくなる。

 ビビ君は、いや犬は、確実に人とのコミュニケーションを「母語」でとっている。日本人の主人なら、「日本語」で会話をするし、「日本語」で心を理解していると思うのだ。上の写真を見ても、「ブログに載せる写真を撮るぞ」と言えば、「ボクにも肖像権がある」とばかりに、知らんぷりだ。そして、こんな記事を書いていれば、「つまれねえなあ」と大あくび。なんてヤツだ。思わず、人として対応してしまった。

 あと、どのくらい一緒の時間がつづくのか? まあ、お互いがボケてしまうなら、散歩がてらの、かみ合わない会話が続くのだろう。